病気やケガで働けないとき
傷病手当金が支給される
健康保険の目的は、そこで働く人たちの業務外での病気やケガの治療と、その療養期間に失われる賃金のために、生活が苦しくなる危険を避けることにあります(業務上および通勤途上の病気やケガは「労災保険」で扱われます)。ですから、業務外の病気やケガが原因で働くことができなくなり、給料がもらえなくなったり、減給されたりした場合には、被保険者の生活を支えるために「傷病手当金」が支給されます。
なお、傷病手当金と出産手当金の両方が受けられるときは、傷病手当金の額が出産手当金の額よりも多ければ、その差額が支給されます。
支給期間は最長1年6ヵ月間
支給期間は、傷病手当金が初めて支給された日から最長1年6ヵ月間です。厚生年金保険から同一の傷病で障害年金や障害手当金が給付されたり、老齢厚生年金などを受給していると支給されなくなりますが、それらの額が傷病手当金より少ないときには、その差額分が最長1年6ヵ月間の支給期間の範囲内で支給されます。
令和4年1月1日の法改正により、「支給開始から1年6ヵ月間において不支給となった期間がある場合は、その期間を延長して支給を受けられます。」※令和2年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金が対象です。
1日当たりの支給額
支給開始日以前の被保険者期間が12ヵ月以上ある場合
支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30で割った2/3に相当する額。
支給開始日以前の被保険者期間が12ヵ月に満たない場合
支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額と、当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額を比べて少ない方の額を使用して計算します。
支給を受けるときの条件
- 療養のためであること*(医師の証明が必要です)
業務外の病気・ケガのために療養しているのならば自宅療養でもかまいません。 - 仕事につけないこと
傷病の療養のため「労務に服することができないとき(労務不能)」は、傷病手当金の支給を受けることができます。 - 連続する3日を含み4日以上仕事を休んだとき
3日間は待期期間として支給されません。4日以降の仕事につけなかった日に対して支給されます。 - 給料が支払われていないこと
事業主から給料が支払われている場合、その額が傷病手当金より多いときは支給されません。給料のほうが少ないときは、その差額だけ支給されます。
*「療養のためであること」とは、以下のように療養をしていることをいいます。
- 医師の指示に従い受診(通院、入院)すること。
- 医師が薬による治療が必要として処方した薬は、指示に従い正しく服薬すること。
また、処方箋を交付された場合は調剤薬局で薬を受け取り、指示に従い正しく服薬すること。
処方された薬があわない場合は自己判断で服薬を中止などせず、必ず医師に相談すること。
なお、療養をしていない場合(正当な理由もなく自己判断で受診を中断したり、処方箋が交付されているにもかかわらず服薬しないなど)は傷病手当金を支給できないことがござます。